はじめに:止まってしまった時間の中で
死産という、言葉にできない悲しみの中にいるあなたへ。
私はあの日から、「なぜ?」「どうして?」という答えのない問いを繰り返してきました。そんな私が、一歩前へ進むために選んだのが「弁護士への相談」でした。
「裁判をしたいわけじゃない、ただ真実が知りたい」
そんな葛藤を抱えながら、私が無料相談を通してどのように気持ちの整理をつけたのか、実体験をお話しします。
私の体験談はリンクに記載していますので詳細はこちらから読んでください。

弁護士相談を決意した「二つの違和感」
私が専門家に相談しようと決めたのには、二つの大きなきっかけがありました。
- 病院の説明文への不信感
病院から渡された経緯説明文に、「帝王切開を提案したが合意に至らなかった」という一文がありました。
「合意に至らなかった」の主語が不明です。
実際私は帝王切開の提案を受けておらず、帝王切開を避けてほしいと依頼もしていなかった。
にもかかわらず「合意に至らなかった」と表記されていたことに不信感が募り、虚偽ではないのか?感じました。
主語をあいまいにすることで私に責任を擦り付けて、私が合意した、と言おうとしてるのではないかと悪意を感じ弁護士さんに相談することを決意しました。
- 担当医の急な異動
最後の検診でさい帯巻絡を見つけた担当医が事案発生後2か月で異動したからです。
何かを隠そうとしているのではないか、逃げたのではないかという疑念が消えませんでした。
弁護士へ相談するまでの経緯、やったこと
一人で悩んでいる時期、私はまず自分で動けることから始めました。
①カルテ開示請求
将来もう一度出産したいと考えたときに絶対違う病院にお願いすると思ったのでその際に説明できるように今回の記録をすべて持っておきたいと考え、カルテ開示請求を行いました。
病院側は4年分のカルテしか保有せず、NSTデータなどは処分される可能性もあります。
もしまた妊娠した際に紹介状のようなものを書いてもらい、次の病院に事例を伝えてもらうこともできますが、その時は“41週、死産”としか書かれない可能性があるのではないか、と感じてより詳細なデータを自分で持っておこうと考えました。
カルテ開示請求は病院の医事課に確認すれば対応してくれます。
費用は病院により異なると思いますが、コピー代と手数料含めても1000円ほどでした。
訴えるのでは?と思われるのが気になる場合は、「次の妊娠に生かしたい」や「引っ越しするため過去の出産履歴を提示できるようにしたい」など理由をつければいいかと思います。
②都道府県の医療安全相談センターに相談
まず都道府県の医療安全相談センターに電話しました。
そこで簡潔な経緯を伝え、どうしたらいいか相談をしました。
判断ミスかどうかは答えられない、と言われましたが、医療事故の弁護士団体名を教えていただけました。
その際、電話越しで「あなたの体調は大丈夫?無理しないようにね」と声をかけてもらい泣いてしまったことを覚えています。
淡々とした電話対応でしたが対応者のやさしさに触れることができました。
③カルテや医療明細、エコー写真を整理しました。
処置に関して説明された資料や同意書もまとめて整理し、提示できるようにしました。
またカルテやエコー写真、経緯説明文はpdfに取り込んでデータ化しました。
これは後の相談をスムーズにするために非常に役立ちました。
④友人の知り合いの弁護士に相談
友人の知り合いに医療事故に強い弁護士さんとつながりがあり、簡単な経緯を伝え、進め方を教えてもらいました。
正式な手続きは取らずに意見をいただけたので大変助かりました。
⑤産科専門の弁護士をHPで調べる
友人の知り合いの弁護士には厳しい旨を言われましたが、もう少し詳細に相談したいと思い産科専門の弁護士に連絡しました。
まずはお問い合わせフォームに入力しました。その後弁護士さんから面談の日程調整のメールが来て日程が決定しました。
メールで事前にデータ化した資料を送付しました。
⑥生成AIとの対話
実は、夫以外で一番相談したのは「AI」でした。
感情を文字にすることで客観的になれ、弁護士への相談文作成や、聞くべき事項の整理にとても役立ちました。
弁護士に相談すべきかどうか、相談依頼文の作成、確認事項などAIが作成したものを参考にしました。
相談内容
病院の説明で納得できなかった点や疑問に思ったことを相談しました。
- 説明の矛盾
- 見落とし
- 病院の都合で処置を後回しにされたのではないか
- そもそも病院に今回のケースを対応するだけの能力があったのか?ほかの病院に紹介すべき案件ではなかったのか
そして一番聞きたかったことは、今回の事例は妥当な判断だったのかどうか。
これを確認するにはどうすればいいかを相談しました。
勇気を出して行った「無料相談」の当日
私が訪ねたのは、まるで「名探偵コナンの毛利探偵事務所」のようなビルにある法律事務所でした。
事務所で名前を伝えると面談室へ案内されました。
産科専門の弁護士さんと1時間、初回無料の面談。
緊張しましたが、メールで事前に資料を送っていたため、話はスムーズに進みました。
今回のケースが訴訟に値する内容かどうかを話してくれました。
医療訴訟というものは、原則、原因があってそのせいでこの結果になったということを証明しないといけない。タラレバで訴訟することはできないと言われました。
へその緒が巻いたから亡くなった可能性はあるけど、それが原因とは断定できない。巻いていても生まれたかもしれない。
臍帯巻絡の見落としだったかもしれないけどそれで亡くなったとはわからない
帝王切開していたら助かったかもしれないけどそれで別の結果(感染症など)が起きていたかもしれない
明らかに病院のミスが起因して死亡した、といえないと訴訟は難しいらしいです。
例えば投薬する薬を間違えた、NSTで明らかに異常所見があったのに無視した、などです。
私の場合、病院の言うように金曜日の段階では問題ないと判断できる。
そして土曜日にスタッフがいないから出勤させろ、とまでは法的要求はできない。と言われました。
緊急時は病院にいる可能な限りのスタッフを集めて処置する必要があるが、そうでない場合スタッフを動員する義務は病院にないそうです。
確かに経緯説明文の内容は疑問を感じる書き方をしているし、説明が悪い部分もある。医師が異動したのも疑ってしまう気持ちもわかるけどそれは今回のことと関係するかどうかはわからない。とこちらの気持ちに寄り添って相談をしてくれました。
今回の件で精神的苦痛が生じた、という内容で慰謝料請求できるか?
できなくはない。
ただ、大した金額にならない。労力に見合わず、弁護士費用もかかるので赤字になりおすすめしない。
弁護士にもよるが基本慰謝料に対して何%かを成功報酬としていただく。それが少なすぎると弁護士としても困る。
という内容のことも話していました。
相談を終えて
私の中で、「どうしようもない。」ということが確定したことが大きかった。
もしかしたら、、、私のせいで、、、などタラレバを考えて落ち込むことが多かったですが、弁護士さんと相談して、今回の件はどうしようもない、日本の法律では訴えることはできない、これが現実、と割り切れるようになった。
今回の死は赤ちゃんが決めたことなんだ、考えられるようになり少し前に進めた気がします。
悲しんでいるときにXでこんなツイートを見ました。
つらいときに自分の心を守ってくれる3つの言葉
- ①なるようにしかならない
- ②しょうがない
- ③いまわたしができることは
①は変えられない運命や未来をコントールしようとして心身がボロボロになる。
②はつらい出来事ほどなんで?どうして?と理由を探し答えのない迷路に迷い込んでしまう
③過去を思い出せば後悔、未来を見れば不安。だけど今に集中すると落ちつくように人の脳はできている
はじめは残酷な言葉だと思いましたが今はすごく納得しています。
「どうしようもない」と受け入れることは、過去の後悔という迷路から抜け出すための、自分を守る手段なのだと思います。
おわりに
死産について弁護士相談をすることは、決して攻撃的なことではありません。
真実を知り、納得し、自分の人生を取り戻すための気持ちの整理のプロセスです。
もしあなたが一人で迷路に迷い込んでいるのなら、一度専門家の意見を聴いてみてください。その一歩が、あなたを救うきっかけになるかもしれません。
弁護士に相談してやれることはやった、それでもどうにもならないのが現実。
これがわかっただけでも成果はあったと感じています。
そして今
急なお別れから1年が経とうとしています。すごくしんどい1年でした。
生理再開よりも先に仕事復帰したこと、仕事中何度もフラッシュバックが起きること、もう一度妊活するか悩んでいたことなどなど色んな気持ちがぐちゃぐちゃで一日の終わりに泣く日も多かったです。
いまは少し整理されてきて、生まれる時は生まれる、どんだけ病気があっても生まれる。五体満足でもダメな時はダメ。運命の残酷さのような、そんなものを感じています。
これが彼の運命だった、彼が選んだ道だったと考えるようにもなりました。
こう思えるようになったのも時間経過とともに心の整理ができたからだと思います。
私の体験が同じような境遇にいる方の心の整理に役立てれば幸いです。
こんな人もいるんだ、程度に参考にしていただければと思います。

